パソコンの物理的故障原因
パソコンは、必ず故障するもの、そう何度となくここでも申し上げてきました。では、故障を起こす原因は何でしょうか?
故障という言葉にも色々な解釈ができるんですが、素直に思い通りに動作しない状態を全て故障、そう考えると、故障は大きく分けて論理的な故障と物理的な故障に分けられます。
論理的故障
論理的な故障とは、最近では最も多いのはウィルス感染などによって動作に支障をきたしているもの。でしょうか。
それに代表されるように、パソコンのパーツを交換する必要はないけれど、どうもおかしい、と判断する状況です。
おそらく最近の1位は、ウィルス感染。次はメールの送受信に関する不具合。更に、インストールしたソフトの不具合による様々な障害。そして、Windowsそのものの内在する問題が具現化した、という場合です。
Windowsは10になって、非常に動作は安定しました。一時のひどい状態ではありません。しかしそれでもWindowsには様々な問題が付きまといます。
このパーツに故障は無いけれでも不具合がある、という場合は、非常に原因の特定が難しい場合があります。そのため、対処の時間よりも原因究明に大半の時間を要します。
物理的故障
表題にもさせていただいた物理的故障ですが、これは、先とは違い、何らかのパーツを交換する必要がある故障だとお考えください。この交換を必要とするパーツによっては、修理ではなく買い替えを素直に検討した方が良い、ということもかなりの割合であります。
では、交換を必要とするパーツとは何でしょうか?
経験から判断しますと。パソコンを構成する全てのパーツがその対象です。しかし、故障を起こしやすい頻度があります。
個人的な判断も含めてしまっていますが、最も故障が多いと考えるパーツから順に説明します。
最も多いのは、内蔵のハードディスク(HDD)です。
事務所内部に例えるならば、最重要書庫です。ここには、基本のWindowsは勿論、全てのファイルが保存されています。

事務所に例えるとはどういう意味でしょうか?

唐突でしたかね。すいません。パソコンの働きを具体的にイメージしていただきたかったのです。

なるほど、では、その例えでは、他はどうなるのでしょうか?

はい。ご自身が、事務机に座っている状況を想像してください。座っている貴方自身が「CPU」ということになります。

「インテル入ってる」ってCMをしていたやつですね。

そうです。机は「メモリ」になり、広ければ仕事がしやすくなります。
だから大きいメモリが良いと言われます。そして机の後ろに大きな書庫があり、そこが「HDD」です。最近は「SSD」という形式に代わっているものも多くあります。
この例えには、若干の無理もあるのですが、マザーボード(基盤)は、事務所の床、ということになります。しかし、パーツがそれぞれ直接マザーボードの上を歩くことはありません。
さて、先ほどから出ているHDD(内蔵ハードディスク)は、実は回転系のパーツです。箱の中で、プラッタと呼ばれる鏡のようなディスクが、秒速6000回転とか7000回転という高速で回転していてその表面に書きまれたデータを読み取ったり、書き込んだりしているのです。

HDD内部
右の写真で、奥に見える円盤がプラッタです。
最近の大容量HDDは、このプラッタが複数枚重ねられています。その1枚1枚の間に読み取りの針のような部分があります。
レコードとレコード針の関係になります。
このディスクの回転そのものが故障を起こすことは、あまりありません。また、ディスクそのものが壊れてしまうことも極端な力をかけない限りありません。
最も多いのは、読み取りの針にあたる部分がコントロールできなくなり、読み取りも書き込みもできなくなるのです。
こうした回転系のパーツは、必ず高熱を発します。それを冷やすために、内部にファンを入れているパソコンもありますが、無いものがほとんどでしょう。あるのは、箱全体を冷やすためのファンで、HDDだけを冷却対象としたファンは、ゲーム用パソコンでないとあまり導入されません。
このHDDが、経年と共に、自身で発生する熱により、段々とおかしくなり、遂には動作しなくなってしまうのです。先ほどの事務所の例えで言いますと、書庫が開かなくなり、中から書類を取り出せなくなってしまうのです。
件数的には物理的故障の3割から5割を占めていると思われます。
では、この故障を防ぐにはどうすれば良いのか?本当に対処療法しかありません。車のすり減ったタイヤは元に戻らないのと同じように、HDDも経年劣化したものは戻りません。劣化を少しでも遅くするためには、涼しい環境で使用すること。これが最も重要かもしれません。冬場は、事務所は暖房します。その暖気が直接当たるようなところに置かない。直射日光を受けるような窓際にも置かない。
落としたりしない、動作中に動かしたりしない。そうした環境に気を付けていただき、2~3年で交換する。これがHDD故障を防ぐ最も確実な方法です。
必ず壊れるパーツなのです。ですから、できるだけ壊さないように使用し、年数が経ったら、動かなくなる前に交換する。これしか方法がありません。
長くなりました、次の故障パーツに関しては、次回へと持ち越します。 つづく